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移住・定住

わがままな職探し

 脱出に当たって、何はさておいても重要なのは、家族が暮らしていくための収入の確保。これが定まらないと、せっかくの夢も実現不可能になる。そこで仕事でも使用していた帝国データバンクの秋田県の資料を取り寄せて片っ端から調べた。僕の目指す内陸部は、土地柄か建設業、木材関連、縫製業、土木工事業などが多い。しかし僕は未だかつて力仕事はやった事が無い。ど~しよ~。何でもやる気ではいるのだが、またもや不安がつのる。

 ページを繰っていくうちに一つの会社が目についた。YAMAHAのピアノ製造会社だ。どこかのページでも書いてあったと思うが、僕は音楽にはちょっとうるさいんです。学生の時から、いつも楽器を横に置いていた。今もギターはバリバリ(?)弾きこなす。と言う訳で、この会社を第一希望にしようと決め、とりあえずは電話をかけて打診を開始。電話口の事務員に、『突然で申し訳ございませんが、御社では今、社員募集はしていらっしゃいませんでしょうか?』と尋ねてみた。

 僕の計画では、転居までに2回は現地を訪れて、職と住の確保のため動こうと決めていた。いきなり電話で詳細な依頼は出来るはずも無い。電話口の事務員から、人事担当の総務部長に回していただいて、年末にお邪魔したい旨を伝え、アポイントを取り付けるだけにとどめた。この件は先方も快く了解してくれた。電話で話した感触では、まずまずだった・・・んんん~、うまくいくかもしれないぞ~~

 この年の冬、スキーツアーを兼ねて家族と一緒に秋田を訪れ、初めての会社訪問。迎えてくれたのは総務部長、生産部長、それに代表取締役の3人。これまでの僕の経歴や考えなどを隠さず話してみた。とても好意的に受け止めてくれて、即座に採用を決定してくれた(内定ではなく採用決定でした)。本当に拍子抜けするくらいの面接だった。特に嬉しかったのは、僕の予定では1年後の入社を希望したのだが、それも認めてくれたこと。報酬は社内規定もあって基本は変えられないが、諸手当を加味して生活に困らない程度の収入にしてくれました。

 職に関しては都会脱出実現のための最重要課題ですから、慎重にならざるを得ませんが、とにかく体当たりで直接談判。自分の希望や心構えを率直にぶつけてみるのも、大事だと思います。採用する側としても平凡な社員を雇い入れるよりは、何かしらの可能性と、魅力のある人材を雇い入れようとするはずですから、平均的な人物を装うよりも、少々個性を表に出しながら話を進めたほうがいいような気がします。(僕が可能性と魅力に溢れた人間だと言ってるワケじゃないのですが。)

 それにしても、何故か大事なところで何かの力に助けられているような気がする・・。とにかくそんな訳で、職のほうは何とかなったが、もう一つの問題は住。


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準備中