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移住・定住

決断

いつまでも逡巡している場合ではない。気持ちをしっかり持って決断しよう!

 しかし不安の募る中、一世一代の決断である。何か後押しになるような光が欲しい。そこで自転車屋さんへ走った。購入したのがキャンピングサイクル。前輪と後輪の両サイドにバッグのついている自転車だ。そして次に行ったのが、横浜鶴見区にある石井スポーツ。二人用のテント、マット、シュラフ、コッヘル、などなどを購入。電気店にも行った。携帯ラジオやマグライト。さらに目黒の地図屋さんへも・・

 1週間ほど一人旅に出て、孤独な中で天の声を感じてみたい。天の声とまで行かなくても、何かが得られるんじゃないか?そんな腹積もりでの購入行動だった訳だが、少々安直過ぎたきらいもあったようですが、こういうところが僕の性格ですね。気持ちは固まっているつもりでも、やっぱり迷いはあったはず。とにかく次の日から、毎朝トレーニングのために1時間ほどのサイクリングを始めた。ママはこんな僕を見て、どう思っていたんだろう?

ところが、トレーニング開始から3日目か4日目の朝、国道1号線で縁石に触れておおっぴらに転倒!そして右手のひらと右足を負傷!これも天の声か?と思った。トレーニングは中止せざるを得ない。

 しかしこの頃の僕は、まるで何かに取りつかれてしまったように“一人旅”に固執していた。その転倒負傷した週の金曜日夕方、とうとう辛抱できず、キャンピング・サイクルを諦めて、車にキャンプ道具一式を積み込んで、一路乗鞍岳の麓にあるキャンプ場に向かった。あれは何月だったろう?初秋の頃だったと思う。

 乗鞍岳のふもとに着いたときには、夕闇が迫っていたし、寒さも想像以上だった。管理棟にはすでに管理人さんの姿は無い。大急ぎでテントを張り、水を汲み火をおこした。30分くらいの間に、もう辺りはすっかり真っ暗になっていた。わずかな食料を温めて口に運びながら、今まで考えてきた事をもう一度頭に思い描きノートに記し整理した。もうすでに結論は出ていたけれど、ここで自分の気持ちにトドメを刺そうとした。つまり、「明日から僕は何をするのか」、脱出にあたってクリアーしなければならないことを、いつまでにやるのかという事を明確に文章にしてまとめた。

 この夜はシュラフに入っても、なかなか寝付けなかった。さっきまでノートに書き綴っていた、自分の行動プランを思い起こしながら、きっとこうなるんじゃないか?もしかしたらあの人の助けが必要になるかな?手続きのために、何日かは仕事ができないんじゃないかな?などといろんなパターンでいろんなシーンが頭をかすめて目が冴えてくる。でも今日僕は結論を出し、大いなる決断をした。両親は僕を信じてくれている。今の仕事も一応の結論を見た。同僚には反対されたけど、理解はしてくれた。もう今まで渡ってきた橋はぶち壊したのだ。

 余談だが、翌日午後に自宅に戻ったら、もの凄い剣幕でママに怒鳴られた。実はどこへ出かけて、いつ帰るなど何もママに話さずに出かけていた。あちこち電話したらしく、兄弟からもエラく怒鳴られてしまった。家族縁者にどんでもない心配をかけてしまった。


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準備中