マタギのこころ

「マタギ / 田口洋美著」からマタギの言葉を伝える

減ったウサギと増えたカモシカ

 鈴木松治の話


山の獣で一番減ったのはウサギだな。あとの獣は昔から増えも減りもしてないようだな。特にタヌキとかイタチ、テンなんかは変わらないようだ。逆に増えたって言えばカモシカだな。これは極端に増えましたな。昔この阿仁の山にはカモシカは絶えていなくなったんだよ。それが今では、どこに行ってもカモシカがいるんだもんな。


それでもな、カモシカもある程度増えてくると今度はそれ以上にはならねぇようだ。山にも限界があってな。何頭でも増えられるって事はねぇ。やっぱり器っていうか、その山が食わしていける獣の数っていうのがあるからな。


今だと自然林はどんどん伐採されていく、カモシカは保護して増やしましょうって言っても、肝心の喰うものがねぇものな。だからカモシカも数は生まれても生き残って行くのが容易じゃねぇようだ。弱肉強食でカモシカも強いものだけが生き残っていくような格好だろうな。


山の動物っていうのは山を生活の場にしてるからな。山が貧弱だと獣にも限界がある。自然とつり合うように上手いこと出来てる。熊は何回も言うけど、増えたなぁって思ってるよ。昔よりかえって数も見るし、獲ってもいるからな。獲っても獲っても湧くように出てくる。なんでこんなに増えたんだろうかと思うけど、良くわからねぇのだよ・・・

熊の画像 熊の画像