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森の狩人マタギ

消えゆくブナとクマ

消えてゆくブナ林とクマの行動の変化 鈴木松治さんの話

 昔は今と違って山一面ブナの林で、自然林だったからクマの歩く道も分かってたしクマの動き方も読めたんだけど、今は自然林がドンドン伐採されたために、春のクマの歩き方は散漫になってしまったんですよ。

 もうクマ自身も何処を歩いていいのか分からなくなってきてるんじゃないでしょうか。獣というのは自分の姿を見られるのが怖いんです。春のクマも自分の姿を見られるのを嫌って、枝の繁っている自然林を好みます。特に真っ白な雪の中に黒い自分をさらすと目立つから、とても嫌がるんです。だからどうしても自然林のあるところを渡っていきますね。

 今、森吉山のスキー場をつくるために工事が始まってるんですが、これでまた自然林伐採が進んで森吉山のクマの動きは、かなり変わるだろうと僕は思ってるんです。これまでは森吉山のクマは7合目あたりの自然林をぐるりと回るような格好で動いていたんです。この自然林は八幡平まで続いているんです。これが今度のスキー場が出来れば、前岳の西側の自然林が途切れる格好になる。前岳のほうへは回らないでヒバクラ岳を越えるような形になるでしょうね。



※阿仁スキー場、森吉山スキー場は完成し、全体で10本以上のゲレンデがあります。また、このスキー場のふもとではダム建設が進められており、ブナ林の伐採に続いて、下流河川の汚濁やそれに伴う川魚の激減など、生態系に再び深刻な悪影響を及ぼしています。近年は山に食料が乏しくなったせいで、クマやカモシカ、サルなどが民家の近所まで降りてきて、人間にも被害をもたらしています。(森吉スキー場は営業廃止になり、阿仁スキー場のみ営業中です。)


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