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くまの棲むまち

布田 信哉さん HOLTO

鷹ノ巣駅前で「オーダーメイドの家具職人 / HOLTO」を運営する布田信哉さんにお会いしてお話を伺ってきました。

 初めて会ったのは5年前、駅横フェス(でしたか?)で手作りコースターやカッティングボードを販売するブースを開いていた時でした。最近の布田さんの話題を耳にするにつけ、もの凄い方だったんだと知り、改めてお会いしてお話を伺ってみたいと思っていました。

 令和元年5月、念願叶ってHOLTOさんの工房にお邪魔することができました。しかし納期が直前にせまったオーダー家具を製作中という多忙極まりない時で、布田さんには大変にご迷惑をおかけしてしまいました。

 まず家具工房のHOLTOという名前の由来をお聞きしてみましたら、「ホルトの木」というのがポルトガルに実在するらしく、そこからその「木」が「気」になって転用したとのこと。しかも小さな頃、裏山に大好きな木があって(後にそれがホルトの木と信じ込みます)、いつもその木の下で遊んだり、メゲたときなども、その木のそばへ行っていたそうです。布田さん曰く「木と会話していた」のだそうです。やがてその木も伐採されてしまい、とても残念な思いをすることになってしまうのですが。

 木が好きで、いつかは宮大工になってみたいと思ったこともあったそうです。夏休みの工作などでは竹トンボやY字の木で作るパチンコなどを作ってはクラスで評判になり、高じて「こんなのも作って」と友人から木製品制作を依頼されることもあったとのこと。そこで木工の技術はどのように習得されたのかお尋ねしてみました。まずは木工関連図書を読み漁ったそうですが、なんとも納得がいかなくモヤモヤしたものを感じてしまったそうです。「本を読んでも、職人によって考えが違うし、作業も仕上がりも違ってくると思う。ですからほとんど独学です。」と布田さんは仰います。

 工房の壁2面ほどにはビッシリ工具が並び整理されています。勿論、電動の工具もありコンクリートの床にも加工機械が何種類もセットされていますが、圧倒的に多いのはカンナやノミ、金づち木づちなどの手作業で使う道具類。特にカンナの種類の多さに驚きます。中には小指ほどの小さなカンナもありました。「カンナには拘りますね」そして「木の本来の表情を出すにはカンナを使うしかない」と言い切ります。

 工房で作る家具類は、山桜、ナラ、ケヤキ、オニグルミなどの広葉樹で作られます。。「5年後、10年後と木の経年変化で本来の色合い、姿になっていく。だからニスやウレタンを塗るような仕事は、木の表情を殺すことになるので断るんです。」「コーティングは、クルミオイルを塗って上に蜜ろうを塗る。ほとんどソレだけです。」

 《写真右上》秋田市川反に納品予定のバックカウンター。重さは優に100kg超。

 布田さんは時に小学校で講演するそうですが、児童相手でも木の事になると真剣になってしまう。「努力に勝る才は無し」とか「鉛筆削るのも本気でやれ!」など、真っすぐ伝えるそうです。「しかし、最近は電動鉛筆削りを使うし、安全第一で小刀などは持たせないものね。うちの子には家では小刀持たせていますけどね。」  痛しかゆしと言ったところでしょうか。

 熱っぽく語る布田さんの話に、大いに納得して頷いていたら、「俺、小さなときに大好きだったホルトの木なんだけど、木が分かるようになった今、振り返ってみると、あれ俺の勘違いだった。ホルトの木じゃなかった!ガハハハ」と、小さなころ話し相手になってくれたホルトの木について大告白。これには大笑いしてしまいました。その時の布田さんの笑顔が下の真ん中あたり。(笑)

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 今後の展望を伺ってみました。「欅は紛れもなく日本の木です。和の雰囲気を持ったケヤキを海外へ出していきたい」「今と何も変わらず変えず、同じ事をずっと続けていきたい」。

 木が好きで、いつもそばに木がある。木狂い(ご本人の命名)の布田さんは、今や北秋田市から全国へ、そして世界へとその活動範囲を広げています。言わばアーティストとも呼べるようなビッグな方でしたが、それにもかかわらず、なんの気負いもなく気さくにお話をしていただきました。心から感謝いたします。ありがとうございました。2019.5.24

 今日は実に内容の濃い様々な話を伺いましたが、布田さんの活動については、まだまだ紹介したい事が沢山あります。とりあえず現在一般公開されているネット上の情報を、以下に一部紹介いたします。 特に「鷹ノ巣駅前拠点」のHOLTO cafe & gallery には是非一度訪れてみてはいかがでしょうか。「木」に触れられます。コーヒーも美味しいですよ。

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鷹ノ巣駅前拠点 HOLTO cafe & gallery


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