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くまの棲むまち

森吉山へ

2002.07.21。移住以来、魅せられつづけている森吉山。やっとこの山への初登頂に挑戦できました。とは言っても実は当時小学生だった子どもたちの、親子レクレーションに後ろから着いていったという次第。そのときの様子を紹介しようという訳です、はい。

地元の小学校が主催して、全校生徒に参加を呼びかけ100人以上の生徒が参加。それに付き添う形で父兄も一緒に登頂に挑戦する。先導は地元の山岳会の大ベテラン。シンガリも山岳会のメンバーが務める。服装も身のこなしも話し方も、さすがはプロ集団。圧倒的な存在感と安心感を醸しています。

写真右の方が先頭を務めましたが、休憩時間のタイミングを測ったり、先頭集団の中の人の疲れ具合などを見ながら人の順番を変えたり、あるいは適宜休憩時間を利用しての山の説明など、本当に素晴らしい完成された案内人で、参加者全員が羨望の目で見ていました。

スタート

登山スケジュールは、小学校から車で山腹のキャンプ場まで移動。そのあと徒歩で5年生、6年生、4年生、3年生、2年生、1年生の順に登山開始。シンガリの山岳会メンバーは2名。5、6年生は全員山頂を目指し、それ以外は8合目の前岳まで登る。低学年でも希望者は山頂までの登坂に挑戦が許可されている。スタート前に児童による注意事項の確認を行う。幸い前日までの曇天がウソのように晴れ渡り、スタート直後はオーバーペース気味で話も弾み、まずは楽しげな登坂開始です。

花の百名山

登山開始から1時間を過ぎたあたりから、綺麗な高山植物がそこここに見られるようになりました。標高も高く厳しい自然の中でも、花がこんなにも綺麗に咲いている事に驚きです。いくつかカメラに収めてきました。

アオモリトドマツ

そしてまたこのあたりは、風に乗って、独特の香りが漂ってきます。それは“アオモリトドマツ”の香り。この樹木は別名“氷河期の生き証人”とも言われ、遠い太古の昔からあった種のようです。しかも寿命が40~50年と短いのに、今に至るまでこの種が東北の山々で生き延びている事が、とても貴重な事のようです。松は英語でパインと言うそうですが、パイナップルの甘~い香りとでも言えばいいでしょうか?うまく表現できませんが、とても心地よい優しい香りです。

こちらではこれを“モロビ”と呼び、魔除けとして何処の家庭でも、神棚に供える風習があるそうです。また昔は雷が鳴ったら、モロビを燻し立ち上る煙を家中に行き渡らせると、雷が遠くへ去っていくと信じられていたそうです。これは案内人ではなく、何代もこの土地に住む方から聞きました。

このアオモリトドマツは、保護種に指定されているようで、今では枝を折ったり持ち帰る事などは、決してやってはいけません!と皆が口を揃えて教えてくれたのですが、どういう訳か、ほとんどの家庭の神棚に、しっかりあるのだそうです。

頂上に到着

スタート地点からしばらくは好天に恵まれ、さわやかな気分で登山を楽しんでいたのですが、やはり山の天気は変化します。8合目あたりからはガスが出始め、風も強く気温もドンドン下がってきました。しかし8合目ともなれば、山頂まではもうすぐ。誰もリタイヤする事なく、5年生も6年生も全員が山頂をめざし、一歩一歩と歩を進めます。それまで汗ばんでいた体も急激に冷え始めます。やがて8合目から40分くらいでしょうか、かすかに山頂が見えてきました。先に到着した子供達が手を振ってくれてます。

歩き始めてから2時間と少し、とうとう山頂まで登る事ができました。山頂で見るみんなの顔も満足げです。まずは濡れたシャツを着替えて、体温を保持。続々と頂上を極める生徒たち・・・全員が登りきりました。そこで先生が生徒数を確認したあと、『天候がこのように悪いですから、少し下山して、避難小屋で昼食を取りたいと思います。』と言ったとたん、『えぇ~、ここで食べようよ~』と児童からのブーイング。

この声を聞いた案内人は、笑顔で『ここで食べましょう。風の弱い岩陰に座って食べてください。』と慎重に判断して許可をくれました。もうこうなるとハラペコの生徒たちは、キャーキャー言いながら、風下の岩陰でおにぎりを頬張ったり弁当を広げたりとおおハシャギ。 山頂で食べるおぎぎりとお漬物は、素晴らしく美味しく感じました。  しかし、寒いことは寒い・・・・

この森吉山は山そのものがご神体という、山岳信仰の山でもあり、一の腰と呼ばれる場所に、神社も祀られています。今回はじめて森吉山の山頂に立ちましたが、たしかに様々を啓示してくれる山だなと感じました。それと植物や動物が、これほどたくさん生息できる環境も、この山の素晴らしさだと思います。山なら何処の山でも同じじゃないかと思っていましたが、はやり登ってみれば山もそれぞれに個性があって、違うものなんだということが良くわかりました。生物学的にとか地質学的にとか専門的なことは良く分かりませんが、とにかく年々好きになっていく山であることは確かです。


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