トップ > 森の狩人マタギ > マタギ情報付録1 > くまとの遭遇

 山を歩いていると、いろんな事があるもんさ。俺も山菜採りだとか罠かけなんかで、山にはよく行くんだけど、くまに出くわしたこともあるな。クマとバッタリ出遭うってのは、大体曲がり角なんだ。見通しは利かないし、こっちの歩いてる音もクマに聞こえないでしょ?どっちもお互のことが気づいてない。こういう場合が一番危ないんだ。

 人間が、どうせクマなんかいるわけ無いって、すたすた曲がり鼻をぐるっと行っちゃうでしょ?クマのほうは夢中で何かを食べてたりさ、尾根を越えようと上のほうへ上がってくるでしょ?そこでバッタリ出あって事故になる。クマの身になってみりゃ人間なんておっかねぇもの、これは大変だとなって、身を投げ打つつもりでかかってくるでしょ!そりゃ死に物狂いでかかってくるでしょ!クマだって、もし人間にかかってこられたらどうすんべって思ってるさ。

 クマに出遭ったら目を見て視線を外すなって言うけど、それは鉄砲持った猟師達のことで、一般的なことじゃないと俺は思ってるな。クマに遭っても身をそらして、目が合わないようにして、背中を向けないでユックリ下がってくればクマは何にもしないんだ。クマってのは人間に見つめられたり、にらまれたり、とにかく見られるのがおっかねぇんだよ。

 それを大声出して驚いたり、ナタに手をかけたりするっていうと、かかってくるんだ。クマっていうのは、人間が気が付いていなければ、さっと逃げていくもんさ。それに人間が攻撃的だったり、大声で騒いだりするってぇと身の危険を感じて襲うけども、人間にその意思が無いとわかれば襲わないもんだ。大体はそうだと思うけど、子連れの場合はそんな事も行ってられない。遭ってしまったらもうこっちが逃げるしかねぇ。

 山に入る人間は、クマとか獣のことをもっと勉強しないとダメだよ。お互いのためにな。人間なんてのは、本当に勝手で我がままなんだよ。檻の中に入っているクマだと『可愛い』って言って、山で遭えば今度は化け物みたいに言うんだものな。山で遭ったら、1メートルのクマも2メートル、3メートルもあったようなことを言うもんな。ツキノワグマで3メートルもあるヤツなんているわけ無いでしょ。

 とにかく山に入る時は、人間の存在をクマに知らせるように音を立てることだな。俺が山に入るときは、爆竹持っていきますよ。尾根を越えて沢に下るときとか、曲がり鼻とかは、爆竹を鳴らしてそれから行くんだ。そうすれば、クマもあー来たなって他の場所に動くからな。自然の音じゃなくて、明らかに人間だってわかるような音を立てて歩けば、まずクマは逃げていくものさ。

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